●石鹸に含まれる保湿成分●
グリセリンについてご質問をいただいたことがあります。
石鹸に含まれる「グリセリン」は決して身体に害のあるものではありませんし、むしろ「保湿性」があり、石鹸によるお肌のツッパリ感を防ぐ効果があります。
昔からお肌に「馬油」や「オリーブ油」を塗るのも、この油に含まれる「グリセリン」の保湿効果を利用するためでもあります。
固形石鹸を製造するとき、塩析法ですと石鹸の中に2〜3%のグリセリン(材料の油脂に含まれていた天然のグリセリン)が残ります。しかし、大量生産ができる中和法ですとグリセリンは残りません。これは、塩析法が油脂(脂肪酸とグリセリンのエステル)を原料にするのに対し、中和法が油脂から分離した脂肪酸だけを原料にしているためです。そのため中和法で製造した固形石鹸には、後から化学的に作られたグリセリンを添加していることが多いのです。また「炊き込み法」ですと油脂に含まれるグリセリンが全部残るため「保湿性」は高いのですが、「石鹸がすぐに溶けてしまう」という欠点がでてきます。これは、石鹸に含まれたグリセリンが、回りの水分を吸収しやすい性質、「吸水性」によるものです。上記のことから、私は塩析法による固形石鹸が自然で使い易い石鹸だと考えます。
また、「透明石鹸」についてもご質問を受けましたが、透明石鹸は原料として、グリセリン以外に、砂糖、エタノールなどがたくさん使われます。したがって純石鹸分の割合は低くなります。しかし、高級化粧石鹸の素地として多く使用されている透明石鹸は、製造に時間をかけているために「刺激」の少ないものが多いようですし、石鹸分の濃度が低いので汚れ落しの力も弱いかわりに皮膚の油成分を落しすぎないようです。